おはよう。英国の話を一つ。
ボリスジョンソン前総理が色々やらかして辞職後、
英国では新総理をめぐる総選挙が起きた。
結果、女性のトラスさんが首相になったものの、
就任から45日という最も短い日数で辞めてしまった。
新総理にトラスさんと争っていたスナクさんがなった。
誰も手を上げる者がおらず、自動的に総理へと繰り上がった。
今後、彼もトラスさんなみの帰還で辞めるのか、
数年持って辞めるのかはわからない。
トラス→スナクの間にあった出来事、
そしてスナク新首相の対策などを見ていき、色々分析するところがあった。
なぜトラス首相は降ろされたのか?
トラス首相が辞任になった事で「やっぱり減税政策はダメ」とか言ってる人いるけど、中身これだからな
基本税率をちょっと下げて、年収2500万円以上を大幅減税に下げるという内容、そりゃ猛反発くらうだろ
しかし、日本の「消費税上げ法人税下げ」の比率はこれの何倍も酷い‥‥国民はもっと怒れや💢 pic.twitter.com/1XixSagQJZ— 桃太郎+ (@momotro018) October 21, 2022
始めに前総理のトラスさんについて、簡単に経歴を見て行こう。
1975年生まれ、キャメロン前総理に始まり、
メイ・ボリス前総理の元で閣僚を務めた保守党の政治家だ。
メイ総理の下で司法長官と大法官を、
ボリス総理の下では国際貿易大臣と商務庁長官を、
2021年には女性・平等担当大臣を担った。
wikiによると2016年のEU離脱における国民投票では「残留派」だった。
国民投票後は「離脱派」に変わった。
また両親は労働党支持者で左翼だった。
何があって労働→保守に変わったのか、私にはわからぬ。
オックスフォード→シェル石油→ケーブル会社→政治家であり、
管理会計士の資格を持っている。
【トラス首相が成し遂げたこと】
・在任期間最短
・選挙で掲げた政策不履行
・株価の暴落とポンド値を大きく下げさせた
・黒人を大臣に起用し、上記を成し遂げたことによる黒人ら移民たちのイメージダウン— アフリカ推しの魔理沙@動画投稿中 (@AfrikaanerMaris) October 21, 2022
保守党の党首選挙にてトラスさんが勝利をおさめ、首相になった。
日経ビジネスによると、経済格差及びジョンソン人気、
後はロシアのウクライナ侵攻におけるロシアへの強硬対応がウケた。
総理になったはいいものの、早速経済政策の一つ「減税」を発表したところ、
9月23日に債券安、通貨安、株安とトリプル安状態となった。
不安に陥った理由は財源の出どころがなく、
投資家から見て根拠にかけたところだ(後述)。
結果、トラス首相は財務大臣を更迭し、減税を撤回した。
世論調査における支持率も大幅に下がり、別の閣僚も辞任した。
辞任後、自動的にトラスさんにバトンが渡り、
ボリスも立候補しないとわかり、新総理へとなった。
スナク現総理は更迭された財務相を復帰させた。
なお戦略学者の奥山真司さんによると、
トラスさんが総理になったときも5割以上が否定的に見ていたという。
財政に対する認識はもちろん、法務大臣時代から時々失言していたという。
スナクはなぜ負けたのか?
イギリス新首相スナクはこんなにヤバい
・てめえが財務大臣時代に富豪インド人妻が税法穴悪用して莫大な所得税回避
・妻脱税のくせに貧民の税金はアップ
・妻富豪なのにコロナ補助金もらう
・閣僚なのに米永住権隠してて米で確定申告してた
・無名時代に引き上げてくれたボリスを後ろから刺す
— 谷本真由美 (めいろま) 「世界のニュースを日本人は何も知らない3」発売中 (@May_Roma) October 25, 2022
次はスナク新総理の生い立ちを見ながら、
なぜ保守党選挙で負けたのかを見ていきたい。
1960年に東アフリカ(ケニアの父とタンザニアの母)から、
英国に移住した両親(ともにインド人)の下で生まれた。
オックスフォード→スタンフォード大学でMBA取得→ゴールドマンサックスだ。
奥さまもインド実業家の娘だ。
EU離脱支持、2020年に財務大臣を担った。
英国の次期首相を選ぶ保守党の党内選挙では、消費税(付加価値税)の引き下げが争点に浮上。優勢とされるトラス外相は、生活費高騰に対し消費税を最大5%引き下げる案を検討中。平均世帯で年間20万円が浮く試算です。もう1人の首相候補で緊縮派のスナク前財務相は消費税引き下げ案に猛反発しています。
— 長谷川ういこ Uiko Hasegawa (@uikohasegawa) September 2, 2022
保守党の選挙で、なぜスナクさんが敗れたのか?
一つは人種の問題があると考えている。
奥さまについてロイター通信によると、
英国で非定住者(納税の義務なし)扱いされており、
「いずれ両親のいるインドに帰り、世話をしたい」語っていると。
「奥様が英国で得た収入は英国で納税している」とも語っているが、
非定住者制度は富裕層に有利として批判されている。
もう一つの要因は総理としての方向性にある。
FNNプライムオンラインによれば、
ボリス辞任の要因となったパーティーに参加していたのと、
減税には反対していないものの、インフレ時の今やるときではないと述べている。
ウクライナに対するロシアへの対応は、ほとんど語っていないと。
チャイナに対しては強硬な姿勢をとると(トラス、保守党の姿勢)。
そしてうちのフォロワーは一つ心配している。
Warmest congratulations @RishiSunak! As you become UK PM, I look forward to working closely together on global issues, and implementing Roadmap 2030. Special Diwali wishes to the 'living bridge' of UK Indians, as we transform our historic ties into a modern partnership.
— Narendra Modi (@narendramodi) October 24, 2022
「モディとスナク、相性良くないのではないか?」
根底に宗教の問題が絡んでおり、
モディさんはヒンズー教寄りの姿勢をとっている。
一方スナクさんもヒンズー教を語っているものの、スナク首相の父親はケニアだ。
ケニアの宗教割合は「キリスト>イスラム>その他」だ。
一応ヒンズー教徒もいると、地球の歩き方には書いてある。
お母さんのタンザニアもキリストの次にイスラムが多いとある。
本人は「ヒンズー教」述べているが、もし違っていたら……
参照:イギリス次期首相の本命、スナク氏って誰? 前財務相としてコロナ経済対策で評価
参照:ケニアの基本情報
なぜ減税なのにトリプル安になったのか?

トラス前総理は公約の一つに減税を掲げた。
減税を掲げたはいいものの、財源をすべて国債で調達すると発表した。
色々ツイッターなどを見ていたら、
トラスは富裕層や大企業を対象に大幅減税を行おうとして市民の不評を買った。
英国のインフレ率は9%から10%をうろついている。
※米国は8%、日本は2%ほどをうろついている。
高インフレ時(物価高でポンド価値下落)に減税をしたから、
低所得ほどインフレ時での被害が大きく、高所得者ほど助かる。
課税前の所得が100万円と1000万円の家があり、
所得税を5割から1割に下げたとする(大雑把すぎるけど、許してね)
すると100万-50万円→100万-10万で90万円と
1000万-500万→1000万-100万で900万円では、
高所得であるほど、減税でとられる額は少なく見える。
同時に政府側から見れば、減税で得られる収入は少ない。
※参照に減税とインフレ時での論理についておいてある。
別のツイートで「トラスは対策を一気にやろうとした」書いてあり、
少しずつ負荷をかけられず、無計画状態でやってしまった。
「いかにも国民受け、国民にそってやっているんだ」と。
結果財政悪化を心配した投資家たちによって株価(FTSE)が下がり、
ポンド/ドルにおいてもポンド安へと触れた。

長期金利(赤線の部分)は上がった。
英国はインフレでありエネルギー価格も上がっている。
トラス政権はエネルギー価格の負担を政府が担う。
財政赤字になるものの、財源について触れない。
銀行などから借金をする一方で税収計画がない。
私たちで言うと働かないで金融会社からお金を借りる。
そのうえで自分に入ってくるお金を今までより狭める(減税)。
お金の入りを狭めるからこそ労働者にとって、
少しでも税負担を和らげる(余計な出費を抑える)一方、
投資家とかからは「売上を狭めて費用ばかり増やす気か」
どう見ても赤字な展開しか見えず、国が貧しくなるであろう……
判断してポンド安に振れたと。

ちなみに日本は金融緩和を続けている一方、
イギリス中央銀行は金利を引き上げている(2022/10/27時点)。
円安・ポンド安でも利下げと利上げは状況が異なる。
利上げはインフレを抑制し、ポンド(or円)高物価安へ向かわせる働きがある。

ポンド/ドル及び長期金利を見たら23日に激変していると分かる。
円ポンドで見ても、23日あたり一気に動いていると分かる。
最新の第一生命経済研究所発表によると、英国も景気後退していると判断した。
スナクの経済政策
スナク首相は経済政策では極めてオーソドックスな保守党の系譜ですね。その本流感と安定性で、保守党内部と支持者市民をまとめる求心力は生まれそうですが、問題は細谷先生のご指摘のポイントですね。トラス氏もその矛盾でつまづきました。 https://t.co/ykoefHLBSB
— 福田充 Mitsuru Fukuda (@fukuda326) October 25, 2022
さて新総理で無投票のスナクはどういう経済政策を建てるのか。
ロイター通信によるとトラス時代の財務相を任命しつつ、
緊縮財政かつ歳出削減、そして増税に向かうのではないかと言われている。
日本だと「岸田総理じゃねえか」とも言われている。
私も「英国版宏池会みたいなもんか」思ったよ。
現時点でイギリスはインフレに苦しんでおり、日本と違って利上げを行っている。
今後の財政はスナク新総理の外交にもかかわってくる。
外交が何をもたらすかはこちらを参照してほしい。
外交でたくさんの国に行きながら色々契約を交わし、
少しでも英国が有利になるようすすめていくのか。
あるいは国内だけでいっぱい状態になるのか。私にはわからない。
加え手元植民地だったインドとどういう付き合いになるか。
日本も含めて岸田総理と相性が合うのか?
私にはわからない。英国人でないから。
間違った解説のバカだらけだからトラスが首な理由を説明したる
・イギリス政府が借金だらけで金がないのに会社と金持ちの減税、一般民に光熱費支援、印紙税減税を一気にやるとぶち上げ
・一気にやるのは経済学学部生レベルな間違い
・首相も閣僚もバカとわかり市場がドン引き
・バカはやめろと圧力
— 谷本真由美 (めいろま) 「世界のニュースを日本人は何も知らない3」発売中 (@May_Roma) October 21, 2022
今回最も気になるところが「党内投票のないまま、次の総理に変わった」ところだ。
彼女がまさか45日程度で辞めるとは思わなかったゆえ、仕方ない部分もある。
一方的に決められたうえ、あまり国民への評価も高くない。
外交及び経済の手腕で評価を上げていけばいいけど、どうなることやら…
