嗚呼、心に愛がなければスーパーヒーローじゃないのさ | 萩月ユウ [pixiv]
おはよう、しゃしゃ。
書店にキン肉マン大解剖があった。
私はキン肉マンを深く読んでいないが、
57巻目をたまたま読んだ際、一気に引き込まれた。
作者ゆでたまごの嶋田 隆司氏のインタビューがあった。
休載期間を経て改めてキン肉マンを書きだした際、
彼らが何をしたかが、私に衝撃を与えてくれたよ。
作者と読者の「キャラクター像」にずれがある
大解剖のインタビューにて、
作者が描くキン肉マンに出る登場人物たちと、
読者が読んで思い浮かべる人物像に差があると書いてあった。
作者が描くあるキャラにおける人物像と、
読者が作者の漫画を通して思い浮かべる人物像に対し、
共有できていないと、読者が離れていってしまうと。
私はキン肉マンを深く読んでいないので、違う人物を例に挙げたい。
はじめの一歩こと幕の内一歩選手。
彼はいじめられっ子からボクシングを続け、
今ではチャンピオンとなりながらも三度敗北した。
読者としての私は一歩を追いかけるうち、
「宮田やリカルドと言った、強敵と戦って勝利してほしい」
しかし作者の森川先生が私と同じ考えかといったら違う。
同じ考えを抱いているかもしれないし、
全く違う考えを抱いていると思っている。
作者が思い浮かべるキャラクターの姿と、
読者が漫画を読みつつ「読み手自身の想像力」を働かせた結果、
思い浮かべるキャラクターには違いが生じる。
作者はある人物について、自分が味わった出来事を加えながら、
だんだん「この人はこういう人物だよ」固まってくる。
(だからこそ、はじめの一歩で一歩が三度目の敗北を喫したとき、
私は大変衝撃を受けた。作者が私の描く一歩の人物像を崩したから)
僕達がキン肉マンから学んだ事
・トイレにパンツを流してはいけない
・トイレに歯車を流してはいけない ←New!!— 朝倉ろびそバネ (@RobisoP) November 26, 2017
読み手は初め、作者が与えるキャラクターに特定の感情を持ちながら、
読み手自身の体験や「自分の何かを代弁してくれる存在」として、
だんだん作者ですらわからない人物へ変わっていく。
そうなると「同人誌」と言った二次創作へ向かう。
二次創作の結果「私から見てこのキャラはこうだ」
ある種の答えを出して、別の読者が読んだとき、意見が分かれる。
「私もそう思っていたよ」なら一つの共同体ができ、
「いや、違うだろ」なら反対の共同体が出来上がる。
嶋田先生らはキン肉マンを改めて描く際、
作者と読者が思い描く人物像について、見直しを図った。
過去の作品を読む苦痛
キン肉マンのサブタイ酷すぎませんか? pic.twitter.com/qkEVfyjVSj
— ノストラ@け02a (@yougottahigh) November 26, 2017
インタビューを読んでびっくりした。
ゆでたまご先生も過去の作品を読み直したそうだ。
過去の作品を読むのは大変で恥ずかしいと。
私も自分の過去作品を読み直すの、大変勇気がいる。
あの時は勢いで描いた、今もそうだ。
書いている時は恥ずかしいとすら思わなかった。
ところが書いた後に読み直そうと決めた際、
「なんて恥ずかしい、とんでもないことを書いているのだ」
すっごく恥ずかしい気持ちに襲われた。
自分が書いた作品を読むとき、恥ずかしい気持ちに支配され、
読む気が失せるの、私だけじゃなかったのね。
ゆでたまご先生は編集者らと自分らの作品を読み直した際、
いろんなことに気づいて、新作への手がかりになった。
「ゆでたまご(嶋田)先生もそう感じていたのか」
思ったら、気持ちがすっきりしたよ。
不評だった?キン肉スグルの弱さ
キン肉マンの主人公、スグル王子が決勝前に弱みを見せた。
57巻目をたまたま手に取った際、すぐに状況が分かった。
スグルの戦いに様々な命運がかかっている。
敵を倒せるかどうかも分からない。
不安で一度、決戦の場から逃げ出そうとした。
嶋田さんによると、どんな屈強な選手も試合前は不安にさいなまれる。
私もある商品を紹介したり、作品を発表する前が緊張する。
「本当にこれを出していいのだろうか?」ってね。
私は自分を事例として当てはまる箇所があったから、
スグルの弱みも「うんうん、わかるよ」思った。
というかこの登場シーンだけで泣ける……「成長の遅い植物を育てている」んですよ…… #キン肉マン
— 重信康(公開用) (@k_shigenobu) November 26, 2017
でもキン肉マンを愛する読み手からすると、
スグルの弱みは不評だったそうだ。
私は自身の体験と似た状況をスグルが味わっているシーンを見て、
「おお、人としての弱みをきちんと描いている」
もちろん、スグルが逃げるシーンだけではない。
心は逃げていたけれど、体がきちんと戦う姿勢を見せ、
気づかせてくれた超人らに対し、スグルはお礼を述べた。
覚悟を決めたシーンが何ともかっこよかった。
不評と感じた人の気持ちはわからない。
私もキン肉マンを1巻からずっと読んでいれば、
57巻という中途半端なところから読まなければ、
「スグルはそんな弱い存在じゃねえよ」怒っていたかもしれない。
年齢に関係ない覚悟
僕達がキン肉マンから学んだ事
・トイレにパンツを流してはいけない
・トイレに歯車を流してはいけない ←New!!— 朝倉ろびそバネ (@RobisoP) November 26, 2017
ゆで先生らも新しくキン肉マンを描く際、覚悟を抱いていた。
キン肉マンを出せば、今までのファンはきちんと読んでくれる。
だからこそ、彼らを失望させてはおしまいだ。
自分とは次元が違う背水の陣の元、戦っているのねと気づいた。
どれだけ有名であっても、いや有名だからこそ、
迫りくる重圧がのしかかってくる。
漫画という仕事に対する向き合いだけでなく、
倫理/哲学という視点で見ると、かなり勉強になるね。
ゆでたまご先生と似た気持ちを別な視点から見ていきたい。
するとターンAガンダムの記事が出てきたよ。
ターンAはほかのガンダムと何かが違う。
ガンダムは必ずしも兵器とは限らない。
ガンダムの定義を変えたらどうなるのか?
別な視点から見るガンダムに対する感想をぜひ読んでほしい。