
※ この場合の「こと」は大事件・重大な事態を意味(画像はプリンセスプリキュア)
おはよう、しゃしゃ。
昨日、私の知人からお手紙をいただき、ある表現に気づいた。
「……世の中の状況を深く知ることが大切なことだと気づかされました」
気づいた? 「こと・もの」に関するお話だ。
「こと(事)」を分析
例えば「悪い」を「良くない」って言い換えるだけで文章の中に悪という字を含ませずに済む。そんなちょっとした言い換えで文章全体の雰囲気がけっこう変わってくる。そういった工夫は会話にも応用が効く
— ひらめきメモ (@shh7) 2016年3月19日
事(こと)はいろんな意味でつかわれる。
「人間が想ったり考えたりする対象のうち、
物(もの)のようなはっきりした存在でないとき」に使う単語だ。
上記の文章をもう一度書く。
「世の中の状況を深く知ることが大切なことだと気づかされました」
知ること:動詞(知る)を名詞化する際、使うよ。
動詞:物事の動作・作用・存在を表す単語。
名詞:物事の名称をあらわす単語。体言ともいう。
動詞を名詞化することで、以下の意味を持つ。
経験、習慣、場合や可能性、仮定の事柄、必要、事実、最善の方法、伝聞
知ることは上記意味のうち、どれに当てはまるだろう?
私は「必要」だと考えている。
根拠として「世の中の状況を知る」と書いてある。
すなわち筆者は世の中の状況を深く知らないわけだ。
深く知らない→深く知らねば。よって「必要」と私は判断した。
【暴論】レベル低い大学ほど、文章も短い(ショートショート並み)、受験的な文法問題多い(下らない穴埋め等)、和訳も単調(構文暗記レベル)。そりゃあ「受験英語は使えない英語」とか言いたくなるわよ。ナメられてるんだもん。「要約なんて無理でしゅね~文の解釈も難しいでしゅね~」って。
— 英語たん【S】@平成の大改訂 (@eigotan_S) 2016年3月18日
次に「大切なこと」に入ろう。
まず「大切・な・こと」品詞分解をしてみた。
「な」は相手の関心を自分に向けるとき、
念を押しながら言葉をつないでいくとき、
文末に使う(軽い詠嘆や怒り、禁止を込めた表現)
体言に挟まれているから、「念を押す」意味で使う。
「こと」の使い方として「特に取り上げる大切な出来事」がある。
よって「本当に大切、特に大切」強調表現として使われる。
「こと」を変えよう
プログラミングについてのとある技術記事を読んでいて、意味が理解できずに5回も読み返してしまった。『数学文章作法』に出てくる悪い例のような技術記事だった。『数学文章作法』っていいこと書いてる本なのだなと自画自賛する朝である。
— 結城浩 (@hyuki) 2016年3月18日
「世の中の状況を深く知ることが大切なことだと気づかされました」
「こと」の使い方を軽く知ったうえで、しゃしゃに問いかける。
「こと」は本当に必要だろうか?
私なら以下のように書く。
「世の中の状況を深く知る必要が大切と、気づかされました」
「こと」を使わなくても表現できるね。
より文章を洗練させるなら、
「世の中の状況を深く知らねばと気づきました」
「世の中の状況をより知らねばと気づきました 」
日本死ねブログは、過激な文章で世論の注目を集めるのが目的で、民主党山尾議員が著者不明のブログ記事をパネルにして国会で読み上げたのは、自分たちにとって有利な土俵に引き込むため。女性議員が日本死ねブログを読み上げるだけで、ちょっとだけ悲壮感漂うような演出が出来るしね。単純なトラップ。
— ニャントロ大魔神 (@garagononn) 2016年3月18日
「こと」を使うタイミングとして、自分が「ここを強調したい」場合に使う。
他に「必要。体験、伝聞……」を考えねばならず、面倒くさい。
そこで「こと」と書いて済ませる。
私も上記表現にて「考えねばならぬ」を「考えることが大切」と書いたんだ。
「こと」を使えば読み手が
「ここで使う<こと>の意味は<必要>だ」 解釈してくれるのだ。
相手に委ねているから使える(俗に言う以心伝心)
しかし実用文として書く場合、正確に自分の思いを相手に伝えねばならぬ。
その際、あいまいな表現を使って相手に委ねてしまうと、
読み手に誤解を与えてしまうのだ。だから避けるべき。
「もの」も同じ
キスマイがオリスタさんの表紙になった時に書かれるカバーストーリーが毎回とても綺麗な文章で、尚且つ愛情溢れる表現で大好きでした。ライターさん本当に有難うございます…オリスタさん有難うございます…。復活待ってます…! pic.twitter.com/mVJt4SMBpn
— りすか (@mist_xx2) 2016年3月18日
「こと」のほかに「もの」もある。
例:辞書はわからない言葉を調べるものだ。
この場合の「もの」はどんな意味でつかわれるか?
早速、国語辞書で調べてみよう。
「もの」もいろんな使い方がある。
形としての物(ぶつ)や、対象を漠然として指す場合、
動作の対象(具体的に何であるかは文脈判断)、
当然・普通、過去の感慨深さを表すとき……
調べてみると、様々な使い方に適応できて驚くね。
上記の「もの」は対象を漠然として指す場合に使う。
そこで対象をはっきりさせると、
辞書はわからない言葉を調べるものだ。
……を調べる書物(辞典)だ。
対象物をはっきりさせたほうが、相手に誤解なく伝える。
しゃしゃはどちらかといえば、どちらがわかりやすい?
休憩:今日のまんちゃん

いただいた手紙を分析し、日本語の使い方を訓練している私。
まんちゃん(万年筆)を使いすぎてしまい、倒れてしまった。

ふう……水の中で休憩中のまんちゃん。文房具にも休みは必要だね。
万年筆に興味を持っているなら、下記記事を読んでね。
文章訓練は盲点だ
新人賞募集のアマチュアの文章力って色々すごくて二十数年前に聞いた例で「核戦争が起こってすごい爆発が起きて普通の家なら倒れてしまうほどだった」みたいのがありました。正確には覚えていませんが「普通の家なら倒れてしまうほどだった」っていうフレーズの脱力インパクトがすごかったですw
— 山本貴嗣 (@atsuji_yamamoto) 2016年3月18日
文章は小学校から高校に至る授業において、誰でも扱える。
だからこそ「相手」を配慮した文章を意識しないまま書いてしまう。
結果、相手に誤解を与えてしまう。
文章は盲点だ。特に日々文章を書いている人にとって、
「別に訓練する必要もない」思うと危険だ。
文章を訓練すると、言葉の使い方が敏感になる。
敏感は「相手への配慮」や「仕事におけるこだわり」 となって、
目に見えない形・関連しない方向に応用できる。
未来において困らないために、今すぐ鍛えるべきだ。
文章を鍛える方法

鍛える方法は色々ある。
添削してもらう、書いた文章を音読する(印刷するとなおよい)
助詞や助動詞の使い方や用法を体に叩き込む。
あいまいな表現は避ける(単語や代名詞が示す内容を考える)
上記本を通し、書いている内容をノートに書き留める。
体で覚えているか、自分に問題を出す。
数か月かかるだろうけど、間違いなく上達するよ。
他に国文法を勉強し、助詞や助動詞、敬語の使い方を学ぶ。
助詞・助動詞はチェックテストをしよう。
記事を書きながら続けていくと、少しずつ敏感になっていくよ。
「伝える話」について、過去記事も書いている。ぜひ読んで。
